2015年11月28日

お仕事を超えての本業(前半)

11月23日〜27日:

 災害時の体験を聞くのが業務だとしたら、まあ任務はちゃんと達成しているんですけれど、現地の視覚障害者たちのニーズに答える、フィリピンの視覚障害者の状況少しでも良くする…、思い込みかも知れませんが、もうこれは私の使命です。
プライベートな時間で、業務では踏み込めない部分にまで関わりますし、今稼いでる給料の大部分が、色々視覚障害者たちの生活向上に費やされてることは、これでいいんだって思ってます。
 音声が出る聖書がほしい…、こういうものがフィリピンに存在するかをいろんな視覚障害者団体に問い合わせて調べることと、存在しない場合はフィリピン大学の教会仲間に音読を頼むなどして作ること…これがまず一つ、タクロバンから持ち帰ってきた宿題です。
さらに幾つか宿題を持ち帰りました。タクロバンの一般学校に通う全盲の高校生、学校で数学の授業に付いて行けなくなっていて、視覚障害者がちゃんと理解できるように個人指導で数学を教えてくれるチューター、あるいは視覚障害者向けの数学のフォロアップ・セミナーの機会を探してます。
こういうのも、日本ならばあるでしょうし、マニラにならちゃんと視覚障害者に数学を指導できる教員がいます。でも地方に行くといないんですよ、情報格差、資源や人材の格差。勉強したくても付いて行けなくて退学に追い込まれていく状況…、私はこれが許せない。本人のせいじゃない。

 他にも、私も使っている点字の電子手帳、ブレイルメモが現在フィリピンに入ってきてるんです。日本ではKGS株式会社という会社が販売してるのですが、KGSの子会社がセブ島にあって。これ、たとえば1行に24文字表示されるブレイルメモ24なら、値段も24万円くらいします。
フィリピン人の給料で言えば、中流階級の人が4カ月働いた給料くらいなので、日本でいう100万円ちょっとだと想像してください。こんなのそのままの値段だとフィリピン人が買えるわけないんですよ、一部のお金持ちを除いて。
でも現在、JICAとフィリピン政府とKGSセブなどが協力して、何やらそのブレイルメモをもっと安価な値段で提供するプロジェクトが進行中なはずなんです。噂によれば、8分の1の値段である3万円で購入できるようにするとか。
これの詳細を突き止めるのも私が持ち帰ってきた宿題です。タクロバンの高校の視覚障害児学級の先生方が、もしブレイルメモを本当に3万円で買えるのならば、生徒たちのために何とかしてお金集めるって。
っていうか、一人だけのためなどではなく、今後高校生たちの学習機器として長年使われるのならば、3万円が本当だったら私が断食して貯めます。どこに問い合わせたら詳細が得られるのかが分からなくて、今調べてます。

 こうして私の力ではその場で解決できなくて持って帰ってきてしまった宿題も沢山ありますが、微力ながらもその場で少し解決できた問題もあります。
 高校生の女の子へのインタビューが終わった後、「ところであなたはどうやって数学を勉強したんですか?」って聞かれたんです。通訳がなくても英語でインタビューができたのは21人中彼女だけです、それくらいずば抜けて優秀な子です。
「私は盲学校だったから、教科書やプリントは点字でもらってたし、計算式や提出物も点字で書いてた」と、いったい何を聞かれてるのかよく分からないまま答えました。
「いいなぁ、私の学校、点字の教科書がないんですよ」「え?じゃあどうしてるの?音読してもらってるってこと?」「はい、いつも友達や先生など周囲の人に読みあげてもらうしかないんです。だから数学がもう分からなくて…」
そりゃそうでしょう、連立方程式なんて音読されても…ですよね。図形を描写されてもそれじゃ答えになっちゃいますし。

「え、ってか待って?点字の教科書はフィリピンで手に入るよ。フィリピン・プリンティング・ハウスって聞いたことある?」「聞いたこと無いです、何ですか?」
「教育省の下にある政府機関で、小学校から高校向けの教科書の点訳を引き受けてる団体。そこが毎年教科書を点訳して、視覚障害者がいる学校に配ってるよ。たぶん送料以外は無料なはず。タクロバンまで情報が来てないんだね」
女の子の目が輝きます。フィリピンで点字の教科書は手に入らないと高校生になる今まで思ってたようです。私が4年前にドゥマゲッティの視覚障害児学級に行った時も点字教科書がなかった…、あそこも地方だから情報が来てなくて先生が知らなかったのでしょう。
当時は私も情報を知らなくて何も提供できなかったですが、今ではマニラの視覚障害者関連団体にはかなり詳しいですし知り合いもいます。気づいたら地方に住むフィリピン人より、私のほうがフィリピンの視覚障害児教育の情報を持つようになったのかも知れないです。
※次の記事に続きます。
posted by Yukari at 23:47| Comment(0) | 日記
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