2015年09月25日

視覚障害者が銀行アカウントを作ることが認められない?

9月25日:
 さて、きっと一時帰国前の最後のブログ更新になります。それが、この話題で申し訳ないのですが。
けっこう典型的な障害者差別をフィリピンのとある銀行で経験したお話です。

 まず、私は2年半前の留学の時から、すでにフィリピンには一つ銀行のアカウントを持っています、当時はそこでダスキン愛の輪基金からの生活費を受け取っていました。フィリピンって、ATMのアカウントを開くか、パスブック(窓口で引き出す通帳)のアカウントを開くか、どちらか選ぶんですね。日本みたいに、ATMのカードと通帳両方くれるわけじゃないんです。
で、当時は、フィリピンのATMってカードが出てこなくなるとか聞いていたので、パスブックのほうのアカウントを開きました。たぶんその時は、とくに何って言われなかったはずです。
 さて、日本では自分が使っているのと違う銀行会社のアカウントにでも簡単に送金ができますが、フィリピンはどうもそういう横の繋がりがありません。ICANが使っている銀行会社が、私がすでに持っているアカウントとは違ったため、ICANからの振込を受け取るために、また別の銀行のアカウントを開くことになったのです。

銀行に持って行くレターは、ICANの総務のフィリピン人スタッフが発行してくれていました。こういうNGOで働いているうちのスタッフのために、ATMのアカウントを開かせてくださいっていう感じのお手紙で、このレターと自分の身分証明書2種類などを持って行けば、ATMのアカウントが開けます。少なくとも、今までの他のスタッフはそうでした。
さて私の場合。「あなた、ぜんぜん目が見えないの?目が見えないんだったら、銀行のアカウントは開けないわよ」と窓口で言われ。
「身分証とレターなど、アカウントを開くのに必要とされている書類はここに全て揃えていますし、記入はガイドが行うにしても、サインは全て私が行いますが、それでなぜ開けないんでしょうか?」となりますね?
上の人に効いてくると、1度後ろの彼女の上司であろう人に聞き、さらにその上司が奥に行ってもっと上の人に聞きに行きました。まあこの時点で、上の人に聞かないと、本当に視覚障害者がアカウント開けないかどうかも知らないくせに、自信たっぷりに最初から開けないと言うなっていう、第1のつっこみどころです。

 さて、上の人に聞きに行って、戻ってきた答えが、「あなた、一人でシングルアカウントを開くんじゃなくて、誰か信用できる人といっしょに、二人で一つのアカウントにしたらいいんじゃない?」でした!
いわゆる、あれですね、ATMの画面が見えない視覚障害者に責任能力なしと言いたいようです。だから責任者を別に立てろと。
仕事に就いていて、仕事関係のお金を受け取るのにアカウントを開かなければならないという職場からのレターまで持って来ている成人した人に、管理できないだろうから誰か保護者といっしょのアカウントにしてと言ってるこの人たち…、なかなか失礼な方々ですねぇ。
 誰かといっしょにと言われても、ここフィリピンでかならず絶対にこの人と毎回銀行に来るという人が決まっているわけでもなく、しかも私の仕事関連のお金を受け取るのだから誰かと同じアカウントは困る、シングルアカウントを開きたいと言ったところ。
 さて、ここからがポイントです。

目の前に置かれた真っ白な紙。もしシングルアカウントを開きたいなら、私はこういう理由でシングルアカウントを開きたいですという内容の手紙を、今ここで、スタッフが見ている前で、あなたが直筆で書け、代筆はだめだと言われたのです。
確かに、一応手書きで普通文字が書けなくはないんですけれど、触って分かる線も何もない真っ白な紙に、手書きの英語で他人が読めるような手紙を書くのはかなり無理があります。手紙はガイドが代筆し、私がサインするのではだめなのかと言っても、それでは手紙の内容にあなたが責任を持っている証明にはならないの一点張りです。
そもそも、手紙を単独で普通文字で手書きできることと、ATMのアカウントを開く責任能力があることとの因果関係が私には分かりませんけれど。障害者を分かって無い人の、よく分からない勘違いですよね。
自分たちと同じように銀行のアカウントを持てる能力があるのならば、何だって自分たちと同じことができるはず、したがって文字が書けるはず。文字を書くくらい基礎的な能力なんだから、まずはそれをやって見せてみろ…みたいな。お金の管理は目が見えなくてもできるけれど、紙とペンで文字を書くことには限界があるという…、当たり前のはずのことが、彼らには分かりません。
 けっきょく、「私のガイドは、私が言ったとおりのことをそのまま文字としてここに書きますから。そして私がサインをします、問題ないですよね?」と押し切って、その場はガイドの代筆になったのですが。これは立派な、視覚障害者への嫌がらせだと思います。

さらに、「あなた目が見えないのに、どうやってATMを使うの?」とまだ聞かれたので、「1度キーの配置を覚えてしまえば利用できます」とハッタリで答える(笑)
ちなみに、念のため言っておきますと、目が見えなくてATMを一人で利用できないからアカウントを開くことを認められない…じゃなくて、目が見えない人が単独で使えないATMしか置いてないことが問題ですからね。日本なら半分くらいのATMを全盲でも単独で利用できますから。
それこそ、「障害は各自が疾病として持つものではなく、一部の人にとってアクセスできないような設備やシステムを導入している社会が、一部の人を障害者に仕立て上げている」という社会モデルの事例の一つになりそうです。
銀行のATMに音声ガイドがあって、私たちが自由に使えるのなら、銀行の利用にあたって私たちは「障害者」ではないんですよ。
 その他、もはや半分は先方が興味で聞いてるんじゃないかとさえ思うのですが、いつから目が見えないのかとか、仕事の給料はどれくらい受け取るのかとか、最終学歴とか、明らかに健常者がアカウントを開く時には聞かれないであろうことを色々聞かれました。
ただしある意味、イギリスの大学院出てます、修士号持ってますけど何か?っとサセックスの学生所を見せたところで、先方がようやく、それなりの能力があると認めたらしく、何かよく分からないですがアカウント開けることになったようです。
 余所の国なので、とりあえず大人しくしておいたのですが、これ日本だったら喧嘩してますね。明らかに差別でしょと思う点などが上記のやりとりの中に沢山ありますし。

 結果的にアカウントが開けてしまったから面白く無い、もしかするとこれで私がアカウントを開くのを認められなかったほうが、今後ICANで障害者の社会参加促進の活動をしていく時にも、ちょうどいい事例になって面白かったかも知れないです。たぶん、私が銀行のアカウント持つのを認められなかったっていう話しを持って帰ったら、職場もびっくりしたでしょうし。
でも思いました、そもそもこの国において、全盲で銀行アカウントを開かなきゃいけないような人がほぼいないんだろうなと。日雇いのマッサージの給料なんて手渡しでしょうからね。
銀行が視覚障害者を知らない、責任能力がないと見なされる。さらにこれは、一般の企業に雇われる時に、自分名義の銀行口座も開けないような人は給料が振り込めないから雇えない…、なんていう話しに繋がっていきますよ。
 さて、後6時間半で家出なきゃ、急いで荷造りします、たぶん今夜は寝られません。
posted by Yukari at 21:24| Comment(0) | 日記
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