2015年11月02日

本当に偉い人の振る舞い(後半)

10月28日〜29日:
※ 前の記事の続きです。

 自分を招いてくれた先生を認識できずに、最初に声をかけてもらった時に、他の人にするのと同じ挨拶しかしなかった…、もはやここから消えたい大失敗の一つですね。講演者や役員テーブルを囲む人なので偉い人の一人だってことは分かってたので、もちろん失礼な対応はしていないのですが、それにしても私が実は先生だと認識せずに半日しゃべってたこと、先方は気づいてるでしょうか?
よかったよぉ、どこで働いていらっしゃるんですかとか、専門は何ですかとか聞かなくて。でもこうして、私が他の人との違いが分からなくて気づかなかったほど、本当に偉い人たちは立場を見せません。

 講演者たちは私入れて10人ほどで、どう見てもみんな40歳以上で私以外は博士号まで持ってます。教育省幹部の人もいますし、オーストラリアから来てフィリピンの有名大学で教えてる先生とか、シンガポールから招かれてる著名人などもいます。
私どう見ても、この場で一人場違いなんですよ。食事の時も、各自自分たちの大学ではこういう方針でこういう取組やってますとか、自分の研究でこういう体験をして…とかネイティブなきれいな英語で話してて…、2カ月前に修士課程を終えて、まだ卒業証明書を持って無いような人はここに座ってちゃいけません絶対。
イギリスの大学院にいたころの、英語に対する劣等感を久しぶりに思い出しました。就職してからは、職場で1番英語ができる日本人扱いされて、同時にフィリピンの中流階級以下の人たちはそこまで英語が上手じゃないんです。
由香理さんの英語早いから、ネイティブのような発音やスピードで話しかけると、世界が違う人だと思われて近づきにくい存在になるよと上司から教えられ、わざとフィリピンなまりと日本なまりを混ぜてゆっくりしゃべるように直しました。今ではそれが癖になってしまっているのですが、こういう場では恥ずかしいです。
 とにかく、偉い人たちの中にただ一人、小さくなってます、私は発言しないようにしよう。居心地悪いだろうなとそんな私を気遣ってか、招いてくださった先生が食事の時、いつも隣か向かい側に座って、みんなの会話の合間に私に庶民的な話題をふってくれるんです。

 さて、講演者たちはみんなスピーチをするわけですが、途中から私が1番注目していたのは、「スピーチを終えてステージから下りてくる時とその後にどんな行動をとるか」でした。
フィリピン人って優しいので、講演がどんなにつまらなくても中身がなくても最後まで聞いてくれますし、それがどんな自慢話であっても、「すごいですね、尊敬します」と素直に拍手してくれます。どんな傲慢な呼びかけにもちゃんと返事してくれますし、…微妙な空気の変化に気づかない人ならば気分がいいと思います。
 1000人の前で自分の業績や事業がいかに成功したかなどを得意げに1時間永遠と語って、会場の拍手の中、「いやーどうもどうも、ありがとね」と傲慢な振る舞いで下りてくる人がいます。
でもね?よーく見てると、そういう人のスピーチの時って会場がざわついてるんです、とくに真ん中より後ろは明らかに聞いてないんですよ。私の手引きしてくれてた先生なんて、隣で携帯いじってましたし(笑)、記念写真撮ってる人たちいましたし。

 10人以上の講演者の中でごく数人だけ、会場が本当にシーンとして話しを聞いていた時があります。確かに中身のある話しでした。さてそういう人たちはスピーチを終えた後、何をするのでしょうか?まず、拍手の中、さっさとステージから下りてきます。
そして、ステージの袖で会場のみんなに配るおやつの準備をしてるホテルの従業員にお礼を言ってるんです。あるいは、講演者席に座る最年少を気にかけて、「あの子名前何?」と近くの職員に尋ねたうえで、
「石田さん、初めまして、私は●●です、今日は参加してくれていてありがとう」などと声をかけてくださった人もいます。私としては、さっきステージ上にいた人から、いきなり話しかけられて握手されてただただ驚くばかりですけれど…。
日本にも、「実るほど頭を垂れる稲穂かな」という言葉がありますが、彼らこそが本当に偉い人であり、本当の意味で尊敬されている人たちなんだなと思いました。

 そういえば、6月末に日本の高校生がフィリピンへ来て、フィリピンの高校を訪問するというツアーに通訳として同行させていただいたことがあるのですが。前に立って話したり、引率をしているのは先輩職員、そしてメインとなるべきは日本からの高校生たちです。
その1番後ろに、存在を目立たせないように通訳を担当する入社10日目くらいの私と、写真撮影を担当するインターンの子がいました。閉会の挨拶のようなものも終わって、職員の誘導で高校生たちがみんな部屋を出て行って、その1番後ろに付いて行く私たち下っ端二人。
そんな私たちにでさえ訪問先の高校の校長先生が、「今日は来てくれてありがとう。君の通訳のおかげでとても助かったよ。みんなの活動を写真に収めてくれてありがとう」と声をかけてくださったんです。影で働いていた私たちのことまで見てくださっていたこと、二人にとって感動でとても嬉しかったのを覚えてます。

 私は9月末の60周年式典に呼んでいただいた時にも、本当に偉い人たちに出会って、またそういう人たちにかぎって私なんかのこともちゃんと相手にしてくださって…、尊敬される人というのは、下を大事にする人のことなんだと学びました。
そしてこのオロンガポでの会議においても、また本当の意味で偉大な人の事例を見せていただきました。
posted by Yukari at 00:20| Comment(0) | 日記