2015年11月01日

本当に偉い人の振る舞い(前半)

10月28日〜29日:

 時間が少し戻りますが、先週の話しをしたいと思います。10月28日から30日にかけて、オロンガポという、フィリピンの首都から車で北に3時間くらい行った地方で行われていた教育系の会議に参加していました。
現在、フィリピンで視覚障害児の教育促進のプロジェクトを立ち上げるにあたって、フィリピン大学の特別支援教育学科と協力することを考えています。いいえ、どちらかと言えば、フィリピン大学やフィリピン盲人連合がメインで、私などは大学側と視覚障害者たちを繋ぐ役目に過ぎないというか。
そんなこんなで、フィリピン大学の教育学の先生方と繋がりがあるのですが、私と連絡を取る窓口となっていらっしゃる教授から、この会議へのお誘いを受けました。ゲストスピーカーとして招くから、参加費も交通費も宿泊費も全部いらないから、参加しないかと。
費用がかからないことや、この会議に参加することでどれだけ多くの協力者を増やせるか、これがどんなに貴重な機会かなどを職場に説明して、出張として参加する許可をようやくいただいたので、無事この場に出席できることになったのです。

 今回の会議の出席者は約1000人…、もはや意味が分からないでしょ、1000人の前でスピーチした経験は私にもないですよもちろん。大学教授やNGO職員や教育省関係者などもいますが、8割くらいは小学校から高校の先生です。あとは、日本で言う、各地方の教育委員会の役人などですね。
 三日間共に、会議の大まかな流れとしては、午前8時から始まって、午前中は3人のスピーチを一人あたり1時間ずつくらいで聞いて、その後3人への質疑応答があります。昼食を挟んで、午後の初めは大学教授や研究者による専門的な講義が4つ同時に行われ、専門分野に合わせてどれに参加するかを選びます。
フィリピンは10時のおやつと3時のおやつを絶対に食べるので、この後3時のおやつの時間を挟んで、4時くらいからは、優秀だと評価された先生による、各科目の授業実践があって、これも4つ同時に行われるので聞き手は専門科目に合わせてどの部屋に行くかを選びます。
そして午後5時過ぎくらいからは、ここオロンガポ市内の高校生による学習発表や音楽発表など、その日によって何かパフォーマンスをしてくれて、6時過ぎに終了、夕食というパターンが多いです。
したがって、1000人全員が同じ部屋でスピーチを聞くのは午前中だけですが、私の番は最終日の三日目に回ってきます。基本的に、三日間ずっとホテルで過ごします。

 さて、私は自分を招いてくれたフィリピン大学の先生しかこの場に知り合いがいないので、正直参加者がどんな人なのか、主催団体はどこなのか、それもほとんど分からないまま自分が1時間しゃべるということだけ分かってここに来ました。
会議が始まってみて、開会の宣言や閉会の宣言をその先生が行っていたり、スピーチをした人それぞれに感謝状のようなものを贈るんですけれど、その賞が先生の名前で贈られていたり…、それらを見て初めて、今回の主催団体の代表者が自分を招いてくれた先生だということを知りました。
だから、会議実施の3週間くらい前に、飛び入りで講演者の中に私を加えたりのアレンジが可能だったんですね。あの…、とっても失礼なことを言ってもいいですか、そんなに偉い人だって知らなかったです。もちろん、フィリピン大学って日本でいう東大の教授ですけれど。
違うんです、いい意味でオーラがないというか、みんなの中に交じってたら分からない人なんです。

 フィリピンでは、日本以上に傲慢な態度や振る舞いは良く無い物とされます。私が知っているかなり偉い大学教授も、待ち合わせ場所に直接車で乗り付けることはせずに、近くで降ろしてもらって歩いて現場に向かいます。
普段は、テレビが4代くらいあるエアコン付の家に住んで、お手伝いさんやドライバーさんがいて、公共交通手段なんて長年使ったことがないような階級の人たちでも、いやそういう人たちだからこそ、建物の廊下にごみが落ちていたらさっと拾うようにしつけられます。
もちろんそうでない人もいますが、偉い人ほど謙虚で、とくに外国人である私などは、その人が立場有る人だと気づくまでにかなり時間がかかることがよくあります。

 私を招いてくださった先生とは、1度顔合わせもかねて1時間ほどのミーティングを9月にさせていただいただけで、その後はメールでのやりとりしかしていません。だから、私の中であまりその先生の声や雰囲気を覚えていなくて…。
 会議の当日、朝ごはんの時に、「石田さん、おはよう」と握手してくれた男性がいたんですよね。誰だか分からずに挨拶を返して、その人向かい側にいたんですけれど、まあ誰だか分からないまま同じテーブル囲んで食事して。
 お昼ご飯の時、講演者や役員などは一つのテーブルを囲むんですけれど、一人の男性が「僕の隣空いてるからどうぞ」って呼んでくれて。誰だか分からないまま着席し、みんなと会話しながら食事してて。隣の男性、私のために食後のコーヒーを取ってきてくれたりしてたんです。
「僕鵜、午後の講演者だから、ちょっと準備があるから先に失礼するね」と言われて、午後は4つのグループに分かれるので、何気なく「あ、次の講演者なんですね。どのトピックを担当なさるのですか?」と聞いたのです。
「僕はカリキュラムの担当だよ」…??え?え?え?カリキュラムのスピーチする人って、それって、それって、私を招いてくれた先生じゃないか…!!
フォークに刺さったデザートのケーキを落としそうな衝撃が走ります。私は、唯一の知り合いであって、主催団体の代表者である偉い先生が、朝から何度も気を使って自分に話しかけてくださってたにも関わらず、それが先生だってことを知らずに対応してた、お招きいただきありがとうございますの一言、まだ言って無いわけです。
※ 次の記事に続きます。
posted by Yukari at 19:01| Comment(0) | 日記