2015年10月04日

温かい笑いに支えられて

9月28日:

 日本への弾丸帰国と、その後2日間続いた出勤の疲れをいやそうと、この土日はのんびり過ごしてます。私、先週末は休みがまったくなかったようなものなので、2週間ぶりの週末ですね。
詳細はまた後日お話ししますが、心身ともに回復する週末になってるので、何だかちょっと、ここ1カ月よりは元気になってきましたよ!

 さて、緊張感ある話しに戻りましょう、先日の記事の続き、28日に行われた聖明福祉協会の60周年式典の話しです。
 当日の参加者は約200人と聞いていました。福祉関連の立場有る人がほとんどで、あるいは政府関連や大学の福祉学部の教授などなど…、たぶん参加者の中で年齢50歳以下は私だけだったんじゃないか、そう思うような人たちの中一人、頭の中は1時間以内に迫ったスピーチでいっぱいです。
会場に入ってから、もう1度職員の方といっしょに、皇族の方ご臨席の際の、ステージに上がり降りする時のお辞儀の順番などを練習します。
 会場に入った時、私のことを知って下さっている方々から「石田さん」、「帰ってきてるの?たまたま?」などと声をかけていただきました。就職活動をしてた時、お世話になった方も出席です。
職員や声をかけてくださった方に手引きしていただいて、参加者の中でお世話になっている方々に挨拶しに行き…。この張り裂けそうな緊張感の中でもとにかくそれくらいはできるんですけれど、問題は挨拶以降の話しなんてほとんどできないというか。今私の心に余裕ない。皆さんお願いですから話しかけないでください、スピーチの内容忘れるから、今何か新しい情報取り入れたら、朝からシュミレーションしてみたスピーチの内容頭から飛んじゃうから。
周囲の方々もそれを察してくれて、「忙しそうだから、また後で話そうね」と私をそっとしておいてくれてました。別に私、物理的にはぜんぜん忙しく無くて、式典開始まであと30分、ただ自分の席で固まってるだけなんですけれど。

 式典開始10分前、秋篠宮両殿下をお迎えするために、職員の方々が慌ただしく位置に着き始め、1段階また緊張感が上がります。
今すぐタイムマシーンがほしい、今から50分後、私はスピーチをしてる、今から1時間10分後には、式典は終わってる…、そこに飛びたい。
 式典が始まり、理事長挨拶、秋篠宮殿下からのお言葉、そして来賓や役員の方々からのスピーチ、表彰や祝電披露と続きます。1番最後の20分が私…、現在11時15分、あと25分。これを待ってる時のもう本当に壊れそうな緊張感。
時計が11時30分、自分の番まであと10分。時計が11時35分、どんどん進むプログラム。私の前にスピーチをなさる方々は、一人当たり3分の持ち時間なんですけれど、みんな見事にその分刻みのスケジュールの中に収めていらっしゃるところが、さらにプレッシャーです。

 時計が11時41分、ついに呼ばれる自分の名前。席から立ち上がって通路でお客さんのほうを向き、司会者が紹介してくださったところで、まずお客さんに1礼。職員の手引きでステージの下まで出て、まず来賓の方々にお辞儀、さらに役員の方々に、そして両殿下にお辞儀。ステージに上がって、もう1度両殿下にお辞儀。
奇跡的に、何一つ間違えなかった順番、リハーサルで確認したことは、できてる。昔から、本番には強い私、本番はいつもどおりかいつも以上の力が
出て、練習より悪くなることは今のところまだない私です。
でも本番に強いというのはけっして、本番前に緊張しないという意味じゃない。本番前の張り裂けそうな緊張感が、いざ本番となった時もう何かを飛び越えてしまって、人間追い詰められるとすごい力を発揮する。緊張感が満杯になって自分が押し出されて、逆に外から本番やってる自分を冷静に客観的に見られるというか。
 だから、いざステージに立って話し始めると、驚くほど冷静な自分がいます。会場の様子も見えていますし、時間を確認しながら話す余裕もあったんです。でもさすがに今回、自分の表情とかにまで気を配る余裕はなかった(笑)

 理事長をはじめ、この式典でスピーチをなさった方々は、みんな立場有る人で、きっと式典での挨拶なども慣れていらして、両殿下がご臨席なさっていることにも触れながらの洗練された言葉が続いていました。
でも私、そんな洗練された言葉が言えない、「ご臨席」っていう言葉さえ、去年やっと覚えたんです。変に難しい言葉使おうとして間違えるよりは、もう自分そのままの言葉になるべく心をこめたい、背伸びしても、20分も話してれば絶対に飾りきれないですし。
マイクの前に立ちます。「ご紹介いただき、ありがとうございます、石田由香理です。私は聖明福祉協会の第41期生の奨学生として選んでいただき、2009年から国際基督教大学に通いました。
去年の3月、2014年3月に大学を卒業した後、2014年の9月からイギリスの大学院で学び、今年の6月からフィリピン駐在のNGO職員として働いています。
なので、これは本日の言い訳なんですけれども、日本には去年の9月以来1年以上住んでいなくて、難しい日本語があまり得意ではないので、本日突然適切な言葉が思い出せなくなることや、表現が不十分な点があるかも知れませんが、お許しいただけたらと思います」
なぜか、会場から狙ってもいなかった笑いが起きて。いいえ、会場だけじゃないんです、この時、私から1メートルほど左から笑いが。殿下が今間違いなく聞いてくださっている、私はその笑いをポジティブに受け取って、何だか安心したんです。
繰り返しますが、この時私は大真面目、笑いを狙ったつもりなどまったくありません。自分の日本語に自信がない、今までの人たちみたいに洗練されたスピーチなんてできない、まずその言い訳をしなければって真剣に思ってました。

 何だかここで安心したことで、いつもの私のペースを取り戻します。ここから19分、無心になってました。頭の中にあったのは、とにかく二つのことを伝えたい。
一つは、皆さんに本当に感謝しているんだってこと。奨学金がなければ私は本当に大学に行けない身でしたし、奨学金に人生を助けていただいたと言っても過言ではない、それが本当なんです。
もう一つは、今フィリピンの視覚障害者たちが、努力しても頑張っても夢があっても学びたくても、それを実現するのが難しい状況にあるんだっていうこと。
だから、努力が報われる社会、頑張ってる人が夢をかなえられる社会、そういう社会にするために少しでも貢献していくのが、みなさんの優しさに助けられてきた自分の使命だと思っていること。
 洗練された日本語なんて使えないけれど、洗練されたスピーチなんてできないですけれど、とにかくこの二つの気持ちだけ、素直に伝えたい。それだけ思ってました。

 スピーチを終えて、会場からいただいた何だか温かい優しい拍手。帰りも同じように、両殿下にステージ上でお辞儀、下に降りて再び両殿下、役員の方々、来賓の方々とお辞儀して席に戻るのですが…、間違えなかった順番。
ちなみに私の時計、まさにちょうど午後12時、ほらね?20分でしょ?
何だか夢の中にいるみたいなフワフワした気持ち、何だか終わったっていう実感がない不思議な気分。ただ、役目を終えたこと、頭では分かっていました。

この記事の最後に、私のいとこが見つけてきてくれた、式典の様子が載っているサイトのリンクを張っておきますね。ただし会場の音声などは入っていなくて動画は映像だけなので、私たち音声読み上げソフトを使ってる人は、見ても何も面白く無いです!
http://www.fnn-news.com/sp/news/headlines/articles/CONN00304258.html
posted by Yukari at 19:57| Comment(0) | 日記